間伐祭り

  現在、日本の人工林で最も必要とされている育林作業は間伐です。しかしながら、間伐材による収益は上がらずに放置林分は増加傾向にあり、また間伐を実行しても切り捨て間伐と呼ばれる方法であったりと、なかなか森林整備は進まないのが現状です。 そこで、少しでも多くの間伐手遅れ林分を救おうと、林業家や学生、一般の人々とのコラボレーションによる「間伐祭り」の企画・運営を行っています。人海戦術による、小径木の搬出は効果絶大です!間伐祭りの受け入れ森林所有者の募集も行っております。

   間伐祭り公式ロゴマークlogomarupng.jpg

 

間伐祭りとは?

間伐しても収益が上がらないため、放置されている若齢針葉樹人工林を中心に、将来林業に就業したいと志すもの、人工林を取り巻く環境問題に関心のあるもの、日本林業のため何かしたくてウズウズしてるものなどの有志によって結成された、主に小径木の間伐と人海戦術による材の搬出を得意とする若い林業チームが行う「間伐推進イベント」です。本格的な間伐計画から伐採・搬出までを行います!

  7.jpg      

 第5回 間伐祭り 2006.12.16-17   

2006年12月16-17日にふもとっぱらで「間伐祭り」というイベントを開催しました。   

主旨は一般の人や学生を交えて、間伐方法について考えてみようというものでした。最近、富士山麓も含め日本各地の30〜40年生のスギやヒノキの人工林で列状間伐が推進されるようになっていて、列状間伐が人工林の森林管理手段として本当に有効な間伐方法であるのかという疑問もあることから、昨年、12月16-17日に、学生、一般の人達、林業家を交えて従来の定量間伐と列状間伐の二つの方法で実際に間伐を行って、その作業の効率性や間伐の効果などについて体験や検証しました。    

「列状間伐とはどのような間伐なのか?」   列状間伐は、すでに20から30年ほど前から北海道の大規模カラマツ人工林をトドマツなどへの樹種転換のための方法として取り入れられてきた。カラマツの価格が低かったため高性能林業機械が入りやすいように列状に伐採していくという、作業効率のみを追求した伐採方法であり、当時は列状間伐ということではなく、列状伐採や機械的伐採法などと呼ばれていた。    

「従来の間伐との比較」   間伐の本来の目的は、育成しようとする樹木の一部を伐採することにより、本数密度の低減、残存木の成長などの促進、光環境の改善を図ることなどであり、今まで多くの現場で実行されてきた間伐は形質の悪い木、被害木などを選して、目標とする間伐率まで間伐する定性的定量間伐であった。一方、列状間伐は間伐率に応じて間伐対象列数と残存列数を決め、間伐対象列内の立木を機械的に間伐する方法で、選木が伴わない。 今なぜ列状間伐が推進されるようになってきたのであろうか。日本の多くの人工林では、材価の低迷により間伐材の販売のみでは作業経費が出にくい上、労務の不足、高齢化などのために間伐の手遅れが進んでおり、木材生産の面や環境保全の面から大きな問題になっており、何らかの方法で間伐を促進させる必要がある。そのために従来の間伐方法の採算性の悪さを少しでも改善するために列状間伐が推進されるようになってきた。この間伐方法では、高性能林業機械の活用でコストダウンが図れるとともに、作業経費が間伐材の販売収入で確保できるとしている。    

「今回の間伐目標」  列状間伐の体験「間伐祭り」は、ふもとっぱらの竹川氏所有の43年生ヒノキ林で2日間にわたって35名の参加で行われた。間伐前の収量比数は約0.74で適度に管理された状態の林分であった。まず1伐3残の列状間伐を行ったが、材積間伐率が34%となったので、もうひとつの従来型の間伐もこれに近い間伐率で間伐を行い、間伐後の材積間伐率は38%となった。 

「参加者との意見交換」  参加者たちと検討会を行った結果、以下のような感想が述べられた。列状間伐は伐採も搬出も容易であったが、伐採列の両側の列に以前の間伐跡があると大きな空間が開いてしまうこと、残した列の中に劣勢木はそのまま残ること。残した列で従来の間伐を行えばよいが、間伐木を搬出するための横取りはコスト削減に大きなマイナスとなってしまうこと。一方、従来の間伐は選木や伐採に手間がかかるが、下層間伐であるため劣勢木の残存率は非常に小さく、残存木の良好な成長が期待できること。林内が均等に明るくなり、林分全体に下層植生の繁茂が期待できること。列状間伐で間伐材収入によって森林所有者にある程度還元できるといわれているが、単位面積当たりの収量はどうなるのか、また主伐期の収入がどうなるのか不安があることなどが挙げられた。

「河原理事長の総括」  間伐の目的が森林を育てるための保育作業であることを考えると、従来の間伐方法が最も適している。しかし、列状間伐は木材の伐採・搬出を低コストで行え、労務事情などを考慮すれば「ベスト」ではないが「ベター」な作業法である可能性は否定できない。なお、列状間伐を行う場合、長伐期を指向した並材生産を目的とするが、雪害、寒風害、風倒害などの被害の発生のあることが否定できず、また総収入などに対する対策や解明がなされていない。特に気象害に対する不安が残る間伐手遅れ林で列状間伐を行う場合には、まず本数で15〜25%の従来の間伐を行い健全な状態に回復させ、その数年後に列状間伐を実行する必要がある。「何が何でも列状間伐を」と言うのではなく、立地条件や環境条件、森林所有者の意向などを配慮して、従来の間伐か列状間伐、あるいは切り捨て間伐かを選択すべきである。  今後間伐した林分を試験地として設定し、今後の残存木の成長などを観察していき、間伐方法の検証をしていく予定である。また、環境として森林が注目されている中、少しでも多くの人達が山作りの現状を知る機会が増えるように、今後も間伐祭りのような活動を展開していきたい。  

今回設定した林分概況

ioeuycy.jpg

 

Comments are closed.